特別支援教育実践研究学会 設立趣意

学会設立の趣旨
障害者の権利条約が2006年の総会で採択され、日本国においても批准書を2014(平成26)年1月に国連に寄託し、条約の締結にいたりました。また、国内では、中央教育審議会初等中等教育文科会に「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」が示されました。現在、この報告に基づいて日本の特別支援教育は進められております。「インクルーシブ教育」といいますと、主として通常の小中学校等における特別なニーズのある子どもの教育をイメージされる方が多いと思われます。事実、欧米での教育やユネスコでははそのような教育を目指しております。ただし、イタリアやスペインなどの一部の国を除いては、ほとんどの国では日本でいう特別支援学校タイプの学校が現存してますし、それらの学校への志望のニーズも決して低くはありません。障害者権利条約の条文で示された「インクルーシブ教育システム」を文部科学省も踏襲し、なおかつ、「基本的な方向性としては、障害のある子どもと障害のない子どもが、できるだけ同じ場で共に学ぶことを目指すべきである」ということを盛り込み、上記の報告書になっております。「インクルーシブ教育システム」の中には、「小中学校等の通常の学級における特別支援教育」、「通級による指導」「特別支援学級」「特別支援学校」が含まれます。つまり、日本においては、小中学校等の通常の学級において「障害のある子どもと障害のない子どもが、できるだけ同じ場で共に学ぶことを目指」しつつ、「通級による指導」「特別支援学級」「特別支援学校」における教育をも充実させていくことが求められているといえます。
「インクルーシブ教育」「インクルーシブ教育システム」「特別支援教育」といういずれの概念であっても教育実践が教育の中核になることは当然のことですし、教育実践の在り方そのものが概念自体の重要な構成要素であるといえます。ただ、日本の特別支援教育関係の学会を見ますと、必ずしも教育実践を主体とした学会は見当たりません。そこで、私たちは特別支援教育において教育実践を主とした学会、仮称「特別支援教育実践研究学会」を設立する必要があると考えました。学会設立の趣旨をご理解下さいまして、ご協力くださいますようよろしくお願いいたします。
 仮称「特別支援教育実践研究学会」設立発起人
  代表 渡邉健治(東京学芸大学名誉教授)
     岩井雄一(特別支援教育推進連盟副理事長)
     半澤嘉博(東京家政大学教授)
     明官 茂(明星大学教授)
     中西 郁(十文字学園女子大学教授)
     丹羽 登(関西学院大学教授)
    三浦光哉(山形大学教授)
   早川 透(四天王寺大学教授)
   高橋浩平(東京都杉並区立第四小学校校長)
   小林 徹(郡山女子大学短期大学部教授)
   日高浩一(東京都立足立特別支援学校教諭)
   田中 謙(日本大学准教授)

なお、学会の会則等は、学会設立までに準備委員会等を開催し、検討させていただきますが、おおよそ以下のように考えております。

仮称「特別支援教育実践研究学会」会則
第1条 本会は仮称「特別支援教育実践研究学会」という。
第2条 本会は特別支援教育実践全般にわたる研究の発達と普及をはか り、相互の連絡と協力を促進することを目的とする。
第3条 本会に事務局をおく。事務局は理事会の承認を得て、代表理事が定める。
第4条 本会は第2条の目的を達成するために、下記の事業を行う。
1.研究集会の開催
2.機関誌および会報の発行
3.研究成果、研究資料、文献目録、その他の刊行
4.他の研究団体との連絡提携
5.その他本会の目的を達成するために必要な事業
第 3 章     会   員
第5条 本会の会員は本会の目的に賛同し、特別支援教育実践の研究に関 心をもつものによって組織する。
第6条 会員は研究集会に参加し、機関誌その他の刊行物においてその研究を発表す ることができる。
第7条 本会の会員となるには、会員の推せんにより申 し込むものとする。会員は退会届を提出して退会することができる。
第8条 会員は会費年額4,000円(学生会員は2,000円)を納入しなければならない。過去3年間にわたって(当該年度を含む)会費の納入を怠ったばあいは、会員としての資格を失う。
第 4 章     組 織 お よ び 運 営
第9条 本会には以下の役員をおく。
代表理事  1 名
理   事 10名(うち常任理事 若干名)
事務局長  1 名
監事    2